第二東京弁護士会のご案内

法律事務所の出産・育児支援のグッドプラクティス

二弁における育児期間中の一般会費免除申請数は毎年度100名を越え、弁護士の産前産後・育児休業取得需要も増加しています。二弁ではファミリー・フレンドリー・アワードを創設し啓蒙に努めているものの、弁護士にも適用される「産前産後・育児休暇」制度を設けている法律事務所等はごく少数です。
事務所としては制度を創設したいものの小規模事務所ゆえに実際上対応困難であるといった声や、パートナー・アソシエイトごとに異なる考慮を要するなど、弁護士の業務形態の特殊性から方針が定まらない等の声も多く聞かれます。他方で、休業を取得したい弁護士側からすると、前例・情報がないと相場観もわからず事務所との相談もしにくくなりがちです。
ファミリーフレンドリーアワード受賞事務所の取組みを紹介しますので、ぜひご参照ください。(※施策はすべて、受賞当時のもの)

産休・育休規程は必要?期間や休業期間中の報酬は?

  • 個別対応では休暇を申請する側の弁護士の心理的負担になるのではと考え、一律に対応できるよう弁護士向けの「産前産後・育児休暇」制度を規則化した。弁護士とスタッフの業務内容の違いから弁護士向けの規程は必要である。所内イントラネットで常に閲覧・確認できるようになっている。(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • 父親休暇制度:配偶者が出産した場合、父親である男性弁護士に10日間の休暇を付与しており、取得率は100%(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)
  • 女性弁護士の出産前後14週間の産休制度と法定期間相当の育休制度があり、育休期間は柔軟な対応が可能(三浦法律事務所、森・濱田松本法律事務所)
  • 法定産休期間である14週分の手当相当額を事務所が自発的に支給(三浦法律事務所、森・濱田松本法律事務所、外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)
  • 育休や時短勤務制度について、パンフレットで周知を図り、所内説明会を開催して利用促進を図っている。(森・濱田松本法律事務所)
  • アソシエイト面談や所内ミーティングの際に、制度について所属弁護士全員に書面で告知してパートナー・アソシエイト双方の理解を図っている。育休は弁護士の性別に関わらず取得可能であることを明示しており、男性弁護士の取得実績もある。(三浦法律事務所)
  • 弁護士の育休・産休期間は、開始日や終了日をルールとして固定することなく、個別のニーズや家庭の状況に応じて柔軟に設定可能。(TMI総合法律事務所)

休業中の経費負担、弁護士会費は?

  • 事務所休業規定を設け、一定の事由が生じた場合は事務所の経費負担を免除しており、法定の産休・育休相当期間はこれが適用される。他に、疾病及び理由を問わない1年間のサバティカルも免除事由に該当する。(早稲田リーガルコモンズ法律事務所)
  • 弁護士会の会費免除制度もご活用ください。

復帰後の働き方サポート

  • 弁護士及び従業員がカレンダーを共有し、子どもの送迎等もスケジュールに入れることで、自然と個々人の状況を考慮する。(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)
  • ベビーシッター、病児保育、学童等の費用負担及び補助制度(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)、ベビーシッター会社との間で割引料金で利用できる契約を締結(森・濱田松本法律事務所)
  • 保育施設の共同利用提携制度の導入及びベビーシッター等の援助を含めた外部の福利厚生サービスとの提携(TMI総合法律事務所)
  • アソシエイト弁護士の時短勤務制度として、業務量が異なる働き方のプランを複数用意して、選択した制度に応じて業務量を調整できるようパートナー弁護士が目配りする。(森・濱田松本法律事務所)
  • メンター制度:子育て経験のある先輩弁護士が、勤務形態やキャリア形成について相談に乗り、休暇の充実や復帰をサポート(森・濱田松本法律事務所)、定期的にキャリアプラン研修を実施(TMI総合法律事務所)
  • 育児中を含め稼働時間に制約がある場合でも、評価や人事において不利に扱わない(森・濱田松本法律事務所)

出産・子育てなどで業務ができない場合、引継ぎはどうする?

  • チーム化することにより、育児等のサポート体制を作っている。(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、早稲田リーガルコモンズ法律事務所、TMI総合法律事務所)
  • 事件配点時に所属弁護士のみならず、その配偶者の出産予定も考慮している。(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)
  • 単独対応業務の場合、パートナー弁護士に戻して引継ぎ可能(森・濱田松本法律事務所)

両立を助ける柔軟な働き方、IT環境整備

コロナ禍以前から、在宅勤務体制を整え、在宅勤務を推奨してきた事務所も多くあります。

  • 自宅にもビジネスフォンを設置し、VPNを利用して自宅と事務所が内線で繋がり、事務所の電話番号から依頼者に電話や電話会議に参加できる。(フリーマン国際法律事務所)
  • クラウドや仮想LANを複合的に活用して、事務所外での業務対応が可能(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
  • ノートPCを入所時に弁護士・スタッフ全員に支給、事務所資料は全てを専用クラウド(Microsoft SharePoint)に保存し、事務所PCがあればどこからでもアクセス可能
  • 自分のスマートホンから事務所電話番号での受信・発信が可能(国際電話にも対応):NECの「UNIVERGEどこでも内線サービス」を利用しており自分のスマートホンから通話する際、事務所の内線直通番号から相手方へ発信した表示になり、事務所外からの対応が容易、FAXもPCから送受信可能、電子契約サービスの導入(三浦法律事務所)

妊娠・出産・育児期間中を通して役立つサポート例

妊娠中に助かるサポートは?

  • イントラネットにワーキング・ペアレンツのサポートサイトを設け、育児中及び出産を予定している弁護士・スタッフ並びにその上司をサポート(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)
  • 休業期間中も研修・所内イベント・セミナーに参加できる
  • 職場に女性弁護士・スタッフが利用できる休養スペースを用意(二弁女性会員室もご活用ください)
  • 所内に子育て支援に資するコミッティーを設置
  • ママ・プレママ・イクメンネットワーク(MLやランチ会費用補助)
  • 休業期間中・育児期間中の定期的な個別面談制度
  • クリスマスパーティー等の事務所イベントへのファミリー同伴が歓迎される(外国法共同事業法律事務所リンクレーターズ)