刑事事件

裁判員体験者の声

市民の司法参加の意義実感

裁判員経験者(東京地裁) 小田 篤俊 氏

裁判員制度は、まだまだ改善の余地のある制度だと思います。市民生活と司法は、かけ離れたものではなく誰にとっても身近なものであるのではないでしょうか。裁判が人々のために公正に行われることをチェックし続けるために、市民が司法参加することの意義を実感することができました。
はじめは裁判に臨むことにあたり、法律の知識がない自分が参加してよいものか、そう感じました。無作為に抽出する方法を採用していることからも、裁判員に高度な法律の知識を求めていないことが分かります。社会における個人の経験に基付いた感覚が司法の場において必要とされているのではないかと解釈しています。そのためにもより良く生きる事が市民として大切なことだと思っています。

貴重な体験に

裁判員経験者(仙台地裁) 松尾 悦子 氏

裁判員制度が始まったことにより、限られた人しか関わることが出来なかった裁判に誰もが関わることが出来るようになりました。
裁判員に選ばれることを『負担』と捉えるか『ラッキー』と捉えるかは、人それぞれです。
でも、普段の立ち位置に左右されずに議論するということは日常では出来ない貴重な体験になるのではないでしょうか。
裁判員制度の負の部分ばかりがクローズアップされがちですが前向きに参加すれば、きっと今後の人生にプラスになると思います。

他人事から自分事へ

裁判員経験者(東京地裁) 田口 真義 氏

自分はいつでも被害者にも加害者にも成り得ると実感したときに自分や自分の家族を守るため、ひいては地域社会を守るために司法に市民が参加することの意義を見出しました。被告人や犯罪者もすべて内包した社会として、その社会の一員として果たすべき役割が私たち一人ひとりにあるのではないでしょうか。
参加することだけがすべてではありません。まずは知ること、知らないことの恐ろしさは後からじわりと効いてきます。正しく知って正しく恐れる。なんでもないことのようで実は難しいのです。正しく知るには関心を持って目を凝らし、耳を傾けてください。
そして、裁きの場に臨むときには、常に畏怖の念を忘れずに慎重に理性的に何より謙抑的に真摯に向き合うことを切に願います。この制度が私たち国民にとってプラスになることを願って。