刑事事件

裁判員制度の意義

市民が参加する裁判

裁判員裁判は、市民から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度です。
かつては、刑事裁判を担当するのは1人又は3人の職業裁判官だけでした。現在では、重大な犯罪の疑いで起訴された事件については、原則として、6人の裁判員が刑事裁判に参加し、3人の裁判官とともに事件の審理・判断を担当することになっています。

常識を裁判に活かす

裁判官と裁判員は、法廷で取り調べられた証拠を検討し、常識に従って判断した結果、被告人が起訴状に書かれている犯罪を行ったことが「間違いない」といえるときには、被告人を有罪とすることになります。逆に、常識に従って「疑問が残る」ときには、無罪としなければなりません。
この判断をするのに専門的な知識や特別なトレーニングは必要ありません。必要なものは、市民の誰もが持っている健全な社会常識です。1人で判断するのではなく、6人の裁判員と3人の裁判官が「評議」を行い、話し合って結論を出します。さまざまな視点から意見を出し合うことで議論が深まり、よりよい結論に行き着くことが期待されています。

見て聞いて分かる審理

かつての日本の刑事裁判は「調書裁判」といわれ、膨大な書面を読むというのが審理の中心になっていました。裁判員裁判では、書類の利用は最小限になっており、法廷での証言や口頭の陳述に重きが置かれています。目の前で行われるやりとりだけに集中していれば、審理の内容を理解することができます。
裁判官だけの裁判では、ケースによっては数年という時間がかかっていました。裁判員裁判では、短期間で集中的に審理が行われます。目で見て耳で聞いた記憶が新しいうちに、自信を持って判断することができます。 用語の分からない点は裁判官から説明があります。図や表を利用する、情報量が一度に集中しないように配慮するといった工夫も積み重ねられています。

弁護士会の取り組み

第二東京弁護士会では、裁判員裁判を担当する弁護人に対し研修を実施しています。弁護側の主張を裁判員にわかりやすく伝えるにはどうするのがよいか、証人に対する尋ね方はどうするのがよいか、といった技術を磨いています。また、定期的に実施される裁判員経験者による意見交換会に参加したり、情報を収集して弁護経験を共有したりしています。
裁判員制度はまだまだ発展途上です。弁護士会としてさまざまな形で意見を述べたり、担当弁護人をバックアップしたりしながら、よりよい制度、よりよい運用が実現されるよう努めています。