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仲裁Q&A

仲裁センターの手続全般

和解あっせんとは、どのような手続ですか?
「和解あっせん」とは、第三者(あっせん人)が、当事者の間の和解による紛争解決を仲立ちし助けることです。当事者の間で納得の行くまで解決策を話し合っていただくのが基本です。場合によっては、当事者の要請がある場合など、あっせん人自身が解決案を示すこともありますが、その場合でも、それぞれの当事者の意思でそれを受け入れるかどうかを決めることができます。
仲裁センターでは、和解あっせんのほか、仲裁合意のある仲裁も行っています。和解あっせんの途中で当事者が仲裁合意を行って仲裁手続に移行することもあります。
裁判所の調停と仲裁センターの和解あっせんはどのように違うのでしょうか?
裁判所の調停も第三者(調停委員)が紛争当事者の間に入って和解による紛争解決をはかる手続ですから、その点では同じです。ただ、裁判所の調停は、調停委員を当事者で選べるわけではないのに対し、仲裁センターでは、あっせん人の選任を当事者の合意で行ったり、その他当事者の希望を反映した選任ができるようになっています。例えば医療事件のような専門性の高い紛争では、患者側・医療機関側のそれぞれ経験豊富なあっせん人を選任することにより、早く的確に解決できるように努めています。
手続の進め方、手数料体系にも違いがありますが、調停手続の詳細は、裁判所にお問い合わせください。(仲裁センターにおける仲裁人・あっせん人の選任、手数料体系については、仲裁人・あっせん人についての項、手数料の項をそれぞれ参照してください。)
相手方との間で仲裁センターの和解あっせん手続を利用することについて事前に合意しておく必要があるのでしょうか?
その必要はありません。申立てがあった場合には、仲裁センターが相手方に連絡し、手続に出席してもらえるかどうかを問い合わせます。できるだけ出席していただけるよう、手紙を出したり電話をかけるなど、仲裁センターから働きかけるように努めています。
もちろん事前に当事者間で仲裁センターの手続で解決しようという大まかな申し合わせや了解をしていただければスムーズです。
相手方が手続に応じてくれるケースはどのくらいの割合ですか?
仲裁センターの手続に出席するかどうかは任意です。どうしても手続に出席したくないという場合は強制的に出席させることはできません。
しかし、仲裁センターでは、相手方に申立てがあったことの連絡をする時などに、仲裁センターの概要や手続の仕組みについて十分に説明し、手続に出席して話し合いのテーブルについていただくよう働きかけることに務めています。これまでの実績では、申立てがあった案件のうち、手続に出席していただけたケースが7割程度です。
仲裁センターでどのくらいの割合で紛争が解決するのでしょうか?
仲裁センターの手続のうち大部分を占める和解あっせん手続についてどれくらいの割合が解決しているかを、これまでの実績で説明します。申立てがあった案件のうち7割程度について相手方が出席して手続が進んでいます。そのうち6割程度が和解等で解決しています。
仲裁センターであっせん人に紛争解決案を出してもらいたいのですが。
仲裁合意がなければ拘束力のある解決案は出せません。しかし、拘束力のない形で、あっせん案、裁定案あるいはあっせん人意見として、解決案を提示することは可能です。そしてそれを受けるかどうかは当事者の自由です。
仲裁センターで扱う紛争の種類に制限はあるのですか?
基本的にありません。当事者間で話し合いにより和解ができるものであれば、仲裁センターで扱うことが可能です。ただし、行政庁を相手方とする紛争など、仲裁センターで扱うのになじまない案件については、受理しない取扱いとすることがあります。詳しくは仲裁センターにお問い合わせください。
少額の事件でも扱ってもらえるのですか?
仲裁センターで扱う事件について、金額的な限定はありません。少額の事件でも扱います。仲裁センターでは、少額事件(30万円以下の金銭請求事件)について、通常事件より全体として安い手数料で事件を受理する特別の手続を設けています。詳しくは手数料の項を参照してください。
仲裁センターに申立てるのに弁護士をつける必要があるのですか?また弁護士をつけないと申立て書の書き方や手続の進め方がわからないということはありませんか?
弁護士をつける必要は必ずしもありません。仲裁センターの手続は、弁護士が代理人としてつかなくともよいように、簡易かつ柔軟に定められています。申立て書の書き方も、裁判所に出す書面のように難しいことはありません。申立て書の見本も用意してあります。不明な点は仲裁センターにご相談ください。もちろん弁護士を代理人としてつけていただいても構いません。
私も相手方も地方に住んでいます。私や相手方が住んでいる場所に仲裁センターがないときは、どうすればよいですか?
和解あっせんには、裁判と違って管轄がありませんので、利用しやすい最寄りの仲裁センターに相談してみてください。
第二東京弁護士会のほか、各地の弁護士会に設置されていますが、仲裁センターがない弁護士会もあります。
 ⇒全国の弁護士会の紛争解決センター一覧(日弁連)
仲裁センターで取り扱うケースでもっとも多いものは、どんな種類の事件ですか?
不法行為や契約違反の損害賠償事件です。金額や損害額の算定が中心になる事件の方が、お互いの譲歩の余地が大きく、和解が成立しやすいものと思われます。解決事件の例の項も参照してください。
仲裁センターに申立ててから解決するまでの期間は、どのくらいかかりますか?また審理回数はどうですか?
短いものは3週間から1か月程度で解決します。半数以上は、3~4か月程度で解決しています。6か月を超える事案は解決した事件の2割未満です。審理回数は、短いものは1回、平均で3回から4回となっています。
相手方が話し合いの席についた場合、手続はどのように進められるのですか?裁判と同じようになるのですか?
裁判の場合、一定の様式にしたがった書面を提出することが中心になりますが、仲裁センターでは、申立て書の書き方も簡単ですし、期日も多くは口頭のやりとりだけで行われます。仲裁人・あっせん人が当事者間の交渉の間に入って、交通整理をしながら手続が進められるとイメージしていただければよいと思います。
ちょっとしたことが原因で友人とけんかをして怪我をさせてしまいました。友人に謝罪と治療費などを支払いたいのですが、いくら払うのが適当かわかりません。このようなケースでも受け付けてくれますか?
仲裁センターでは、質問のような加害者側からの申立てや、債務者から分割払いを求める申立てもかなりの件数あります。また、自分が支払う損害賠償の金額がわからないときは、額をはっきりさせずに「妥当な損害額を決めてほしい」という趣旨の申立てをすればよいことになっています。
仲裁センターから申立ての通知と手続の案内が来ました。話し合いで解決したい気持ちはありますが、こちらの言い分も聞いてもらいたいし、また解決を押し付けられるのも嫌です。
仲裁センターの手続に応じて出席していただくかどうかは自由です。しかしせっかくの機会なので、ぜひ一度は仲裁センターに来て話し合いのテーブルに着いていただきたいと思います。あなたの言い分ももちろん十分お聞きした上で、解決の可能性を探ります。
また、あっせん人から解決の案を示されることはありますが、それを受けるかどうかは当事者双方が決めることであり、押し付けはできませんし、しません。解決案があなたの意に添わなければ、断ることは自由です。また途中でどうしても手続をやめたいという場合にも、手続を終了することも可能です。どうか安心して仲裁センターに来てください。
話し合いの席について、こちらの言い分も訴えたいと思いますが、夫が病気入院中で出られません。どうしたらいいでしょうか?
そのような場合には、親族の方を代理人とすることができます。会社が当事者の場合は、会社の担当者を代理人とすることができます。弁護士を代理人としてつけていただいても構いません。詳しくは仲裁センターまでお問い合わせください。
紛争が公になることは困ります。仲裁センターの手続について秘密は守られるのでしょうか?
仲裁センターの手続は、非公開です。また、仲裁人・あっせん人は守秘義務を負っていますので、秘密は守ります。
 ただし、当事者(申立て人および相手方)については、当然に守秘義務が課されるわけではありませんので、その点は別途手当が必要になるでしょう。その辺りは手続の初めに仲裁人・あっせん人に相談してみてください。
申立てをするために仲裁センターに行かなければならないのでしょうか。郵送やFAXでの申立ては受け付けてもらえるのでしょうか?
申立てに際しては、できるだけ仲裁センターに来ていただくようお願いしています。手続の概要や申立て書の書き方を説明し、さらに仲裁人・あっせん人についてのご希望をお聞きするためです。しかし、事務局の業務時間(9:30~12:00、13:00~17:00)に仲裁センターにお越しいただくことが難しいというような場合は、郵送またはFAXでの申立ても受け付けております。
仲裁とは、どのような手続ですか?
「仲裁」とは、当事者が仲裁合意により紛争の解決を第三者(仲裁人)の判断にゆだね、仲裁人の判断に拘束されるという手続です。仲裁判断については、裁判のように不服申立てができません。
仲裁センターに申立てるには、あらかじめ相手方と仲裁契約をしていなければいけないのですか。
その必要はありません。仲裁契約のことを仲裁合意とも言っていますが、仲裁センターでこれまで取り扱ったケースの中で、事前に仲裁合意のあったケースは数件しかありません。
解決事例の中には、仲裁判断が出されたケースがありますが、いずれも、手続が始まってから仲裁合意がなされたケースが多数です。
また、最後まで仲裁合意をしない場合でも、和解あっせん手続により、和解解決は可能です。仲裁合意がない状況で「仲裁申立て」としてなされる申立ては、和解あっせんの申立てとして取り扱います。
仲裁は不服申立てができない一審限りの裁判のようなものと聞いています。仲裁人に判断を出してもらうとしても、参考意見にとどめたいのですが。
和解あっせん手続を利用してください。和解あっせん手続の中でも、あっせん人があっせん人案や裁定案あるいは意見を出すことは可能です。それらは当事者を拘束しません。
また、双方の対立の幅が小さくなり、ある程度解決の道筋が見えたところで、仲裁合意をして仲裁人の判断にゆだねるという方法もあります。
和解あっせんから仲裁への移行は可能でしょうか。
和解あっせんの話し合いの中で、いつでも双方が仲裁合意をして仲裁手続に移行することが可能です。
仲裁センターを利用したものの、手続などに不満があるときはどうしたらよいですか?
『仲裁センター苦情申出細則』に基づき、苦情の申出をすることができます。
二弁仲裁センターは、いわゆる認証ADR機関ですか。
二弁仲裁センターは、認証ADR機関ではありません。
「認証ADR機関」とは、法務大臣から認証を受けた民間の紛争解決手続機関をいいます。弁護士会は、認証を得なくても、和解あっせん手続等のADRを運営することができます。二弁仲裁センターは、弁護士会の独立性を確保するとともに、当事者のニーズに即した柔軟対応等のため、当該認証を取得していません。
したがって、仲裁センターは認証ADR機関に当たらず、二弁仲裁センターにおける和解あっせん手続には、認証ADRで認められている時効完成の猶予(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法第25条)等の効果はありません。
相手方が一定の金員を支払う内容の和解が成立したものの、相手方が当該和解に反して支払いをしない場合、強制執行の申立てを直ちにできますか。
できません。あくまでも私人間の契約にすぎないためです。
しかし、①公正証書の作成、②仲裁決定(仲裁法第38条第1項)、③即決和解(訴え提起前の和解)等の手段があります。詳しい方法につきましては、二弁仲裁センターまでお問合せください。

仲裁人・あっせん人について

仲裁人・あっせん人を自ら選ぶことができますか?
仲裁センターの仲裁・和解あっせんが裁判や調停と違うところは、仲裁人・あっせん人を選ぶことができることにあります。裁判は手続に対する信頼、仲裁等は人に対する信頼と言われる由縁です。1人の仲裁人・あっせん人が審理を担当する場合、双方の希望が一致すれば、仲裁人候補者名簿の中から、1人の仲裁人・あっせん人を指名することができます。3人の仲裁人・あっせん人が合議で担当する場合は、それぞれ1人の仲裁人・あっせん人を指名して、残る1人は仲裁センターが指名します。多くの合議事件では、当事者双方にそれぞれ1名ずつ仲裁人・あっせん人を指名してもらうよう希望を聞いています。
また、当事者双方の合意があれば、仲裁センター承認のもと、仲裁人候補者名簿以外からも仲裁人・あっせん人を指名することが可能です。詳しくは仲裁センターにお問い合わせください。
仲裁人・あっせん人にはどのような人がなっていますか?
実際に仲裁事件・あっせん事件を担当する仲裁人・あっせん人は、仲裁人・あっせん人候補者名簿の中から当事者または仲裁センターが選任することになります。仲裁人・あっせん人候補者は、第二東京弁護士会に入会して10年以上の弁護士経験のある弁護士の中から、会長が適任者を指名して名簿に載せています。
また、元裁判官、元検察官で裁判のことをよく知っている人や大学の先生、建築士の方などの学識経験者も仲裁人・あっせん人候補者にお願いしています。 現在、名簿には約140名が登載されています。
仲裁人・あっせん人を自ら選ぶことができますか?
各仲裁人・あっせん人の経歴やモットーその他のプロフィールを公表しています。仲裁センターにお問い合わせください。
また本ウェブページの「あっせん人・仲裁人検索」のページを参照ください。
 ⇒あっせん人・仲裁人検索
仲裁センターが指名する仲裁人・あっせん人について、専門分野等の希望を聞いてもらえるのでしょうか。
ご希望を出していただければ、できるだけそのご希望を考慮に入れて仲裁人・あっせん人を指名します。
医療事件においては、東京の三弁護士会が、患者側・医療機関側のそれぞれ経験豊富な弁護士を仲裁人候補者として名簿登載しています。
補助者とはどんな人ですか?
補助者は、事実関係の調査や新しい判例の調査などを行って仲裁人・あっせん人を補助します。第二東京弁護士会に入会して15年未満の弁護士が、仲裁人・あっせん人を補助して最新の知識を補充したり、現場検証の補助など審理に機動性をもたせています。
また、仲裁人・あっせん人は補助者の弁護士の新鮮な感覚を汲み入れ、単独仲裁や3人合議とはひと味違った審理の進行を図ることができ、仲裁人・あっせん人意見や和解案に補助者の意見を反映させることができます。
専門家委員とはどんな人ですか?
専門家委員は、法律以外のいろいろな分野の専門家で、仲裁人・あっせん人にその分野の専門的知識をもって助言し、解決を援助するための人です。
仲裁センターに申立てられる案件のなかには、専門的知識がなければ適正に解決できないケースや、当事者の感情をうまくときほぐさないと解決のための道筋が見えてこないものもあります。離婚に際し子供の面接交渉権が重大な争点になったケースでは、専門家委員としてカウンセラーが活躍しました。
また、建築紛争では、一級建築士の協力をえて迅速・適正な解決が図られました。
仲裁人・あっせん人は何か特別な勉強をしているのでしょうか?
仲裁・和解あっせんが紛争解決方法として注目され、弁護士会で仲裁センターが運営されるようになったのは、ここ20年のことです。仲裁・和解あっせんには、未だ未開拓の問題がたくさんあります。第二東京弁護士会仲裁センターでは、ほぼ毎月1回、仲裁実務研究会を開催しています。解決した事例のケース研究が中心になっていますが、講師を招いてセミナーを行ったりもしています。この研究会は、創設以来続いています。
また、7月には、他の弁護士会の仲裁センターの委員も招いて夏季勉強会を行って、その時々のテーマを集中して討議しています。

解決事件の例

仲裁センターでは実際にどのような事件が解決しているのですか?
  • 建物の持ち主が店舗を改造するため借家人(そこで商売を営む)は一時仮店舗へ移らなくてはならない。その間の売上減少の補償を求めた事件。あっせん人が店舗を実際に見分し、補償率を算定して解決
  • 当事者双方が共有する私道部分を車で通行することを求める事件。感情的しこりの強い事件であったが、当事者同席で話し合ってもらい、解決
  • 夫の不倫に端を発した夫婦関係を調整する案件。きめこまかな和解条件を決めて解決
  • 建築(工事代金支払)に関する紛争。一級建築士を助言者に起用して、専門的な調査を行ない、解決
  • 子供の連れていた犬がいっしょに遊んでいた子供をかんで大怪我をさせた事件。双方にとって不幸な事故だったが、あっせん人から将来をにらんで治療費を双方分担する解決を提案し、双方共納得して解決
  • 金銭、財産関係を含む複雑な肉親間対立の事件。一つ一つゆっくり、細かく聴きながらほぐして行き、複雑な肉親の対立を解消
  • 著作権のからむ事件。企業秘密に配慮しながら、柔軟に解決
  • 離婚をめぐる紛争案件。子供との面接交渉の問題など、複雑かつセンシティブな問題を、家裁調査官OBを助言者に起用して解決
  • 登山中の滑落事故をめぐる損害賠償の紛争。滑落の際に下を登山していた登山者に接触したかどうかが争点。仲裁人の一人は現場の山にも出かけ、入念な証人尋問も行なって解決