ご相談窓口

仲裁センターのメリット

第二東京弁護士会仲裁センターには長い実績があります。

第二東京弁護士会の仲裁センターは、1990年3月、全国の弁護士会に先駆けて設立されました。当センターは20年以上にわたり、民間ADR機関として紛争の処理解決に大きな役割を果たしてきました。さらに、多様なニーズに合わせて、2007年9月に「医療ADR」、2010年10月に「金融ADR」を、他会と協力しながらそれぞれ新設し、医療紛争、金融商品取引紛争の実態を良く知る弁護士を仲裁人候補者に加え、充実した仲裁・和解あっせん手続を実施できるようにしました。
また2010年3月には、弁護士会多摩支部(立川市)でも仲裁・和解あっせん手続(期日のみ)を実施できることとなり、多摩地区におけるニーズにも対応できる体制を整えました。
ぜひ、長い実績のある仲裁センターをご利用ください。

仲裁センター(ADR)は、紛争を早く解決したい、易しく柔軟な手続を利用したい、手続を非公開で行いたいというニーズに合致した手続です

ADRは、英語のAlternative Dispute Resolutionの頭文字をとったもので、裁判外紛争処理、裁判外紛争解決等と訳されています。紛争が生じた場合、まず思い浮かぶのは、訴訟、審判、調停などの裁判所の手続ですが、裁判所の手続は、一般に、時間がかかり、手続が煩雑な上、原則として公開の法廷で行われます。
紛争を早く解決したい、易しく柔軟な手続を利用したい、手続を非公開で行いたいと望まれる皆さまにとっては、裁判所の手続は利用しづらいものです。これに対して、ADRは、当事者双方が受け入れることができる解決方法を探るための柔軟な手続であり、このような皆さまのご希望に沿う手続といえます。

様々な事件が、当センターのADRで解決されています。
以下では、実際の事例に即して、ADRの利点をご紹介いたします。

1.事例紹介(迅速性)

裁判所の手続は、何度も期日を開催した後、証人尋問を経るなどして、最後に判決や審判に至ります。そのため、第1審の結論を得るまでにも相当な時間がかかることがよくあり、上訴されれば、さらに時間がかかります。この点、ADRを用いると、比較的迅速に紛争を解決できます。
迅速性というADRの特色がよく表れた事例としてマンション建築紛争の事例があります。
この事例は、申立て人の自宅兼事務所の隣接地にマンションが建築され、申立て人が、1年3か月間振動・騒音・通行障碍、家屋損傷、家族の病状悪化等の被害を受け、相手方建設会社に、家屋修復工事と慰謝料の支払いを求めたというものです。
この事例では、審理回数3回、約4か月間という極めて短期間で和解が成立しました。裁判所の手続で本事例を解決しようとした場合には、これほど短期間で紛争が解決されることはまずありません。

2.事例紹介(柔軟性)

裁判所の手続は、法に則って進められるため、煩雑かつ専門的なうえ、訴訟や審判では請求できる内容が限られています。この点、ADRの場合は、期日の開催日時(例えば、土日、夜間)、開催頻度を比較的自由に設定できるほか、当事者が合意さえすれば和解内容も柔軟に定めることができます。
この柔軟性というADRの特徴がよく表れた事例として、ツーバイシックス製材の事例があります。この事例は、2×6インチ(ツーバイシックス)製材を用いる約束に反して2×4インチ(ツーバイフォー)製材を用いる設計になっているとして、申立て人が契約の解除と支払い済み代金の返還を求めたものです。
この事例は、建築士専門家委員の説得もあり、申立て人が残代金を支払い、ツーバイシックスの住宅にも使用できる製材を引き取るという和解が成立しました。裁判所の手続では、解除の有効性が争点となり、上記のような方向での和解は困難であったと思われます。

3.事例紹介(非公開性)

紛争を裁判所の手続によって解決する場合には、公開の法廷で弁論手続や証人尋問手続を経なければならず、そのために、躊躇を覚える方も多いと思われます。当センターのADRでは、特別な手続をしなくても、手続が非公開で行われることはもちろん、当センターで手続が行われていること自体も秘密とされます。
この非公開性というADRの特徴がよく表れた事例として、著作権侵害に関する解決事例があります。
この事例は、ある出版会社が他社出版の書籍のイラスト・図表などを借用したとして紛争になった事例であり、損害額の算定をどうするかが問題となりました。損害額の算定には、書籍の発行・販売部数、制作費等コストの内訳、利益の内訳などの資料・情報が必要ですが、これらは出版社の企業秘密で、相手方への開示がはばかられます。
この事例においては、仲裁人が、関係資料を相手方には一切開示しないという条件で提供を受け、妥当な損害額を算定し、和解が成立しました。
ADRを活用すれば紛争の迅速かつ柔軟な解決が図られるだけではなく、紛争解決コストの削減も見込まれます。